読書

人間六度「スター・シェイカー」

人間のテレポート能力が研究され、法整備や実用化の進んだ未来。赤川勇虎(あかがわいさとら)は、旅行者や貨物を運ぶ職業テレポーター、剛力(ゴウリキ)だったが、事故で人を死なせてしまい、心因性の疾患によってテレポート能力を失う。そんな彼はある日…

柄刀一「ミダスの河/名探偵・浅見光彦vs.天才・天地龍之介」

ルポライター、浅見光彦はあるきっかけで、7歳にして白血病のために末梢血管細胞移植を受けようとしている少女、山内美結(みゆ)のことを知り、取材に乗り出す。 幸いにして白血球型の一致するドナーが見つかり、いよいよ移植手術の当日を迎えるが、その直…

ホリー・ジャクソン「自由研究には向かない殺人」

2012年4月、リトル・キルトンの町で発生した高校生失踪事件。 学園の人気者だった美少女、アンドレア(アンディ)が姿を消し、直後に恋人だったサリル・シン(サル)が自白ともとれるメッセージを残して自殺死体で発見される。 5年後、グラマースクールの最…

浅田秀樹「三体問題/天才たちを悩ませた400年の未解決問題」

有名な天文物理学上の未解決問題の本。僕には珍しい理系の教養書で、読んでみようと思った動機というのが、某中文SFでこの三体問題を知ったから。理系の人にはごく初歩的な入門書なんだろうけど、理解するにも楽しむにも、僕は素養が足りなかったかな。 むし…

福田和代「繭の季節が始まる」

21世紀初頭のパンデミックを経験して、人類は《繭》と呼ばれる制度を導入。新型ウィルスが発見されると、警察官や消防官、医療従事者などの一部の職種を除いて、収束までの間、外出は原則禁止となる。交番勤務の警察官、水瀬アキオは猫型警察ロボットの相棒…

ミハイル・エリザーロフ「図書館大戦争」

旧ソ連邦時代の無名作家ドミトリー・グロモフ。彼の残した数少ない著作には、人間の精神に働きかける不思議な力があった。そのことに気付いた者たちは、「図書館」「読書室」といった秘密結社を組織し、グロモフの小説の収集に血道をあげ、時に壮絶な衝突を…

額賀澪「世界の美しさを思い知れ」

出演映画の完成を目前に自ら命を断った俳優の蓮見尚斗。 家族との不仲、マネージャーら関係者との軋轢、映画監督のパワハラ、元恋人への未練、と世間はその動機を様々に憶測する。 誰よりそれを知りたいと願う双子の兄の貴斗は、弟のスマホに届いた連絡メー…

岡田秀文「白霧学舎探偵小説倶楽部」

太平洋戦争の末期、空襲から逃れる疎開の意味もあって、地方の小村落の寄宿舎学校へと編入することになった美作宗八郎は、寮長の滝と同学年の斎藤、最初にできたふたりの友人から、探偵小説倶楽部に引き込まれる。 彼らは5年前から続くある連続殺人に関心を…

劉慈欣「円/劉慈欣短篇集」

「三体」で中文SFブームを引き起こした作者の短編集。原著にあたる本はなくて日本独自の刊なのだけど、収録作選出は著者自身によるとのこと。ユーモラスなの物寂しいの、古代もの、近未来ものと多彩で、それだけに個人的に合う合わないはあったけど、全編通…

福田和代「ディープフェイク」

ある事件がきっかけで生徒思いの熱心な教師としてマスコミに取り上げられ、テレビの教育番組にもレギュラー出演する、湯川鉄男。ある週刊誌が身に覚えのない、教え子との不適切な関係を報じてから、彼の生活は一変する。ネットにあふれる捏造動画、誹謗中傷…

なめこ印「ベルサイユの獅子/絶対記憶者の俺が未来知識で過去と義妹の運命を変えるIF戦記」

21世紀の記憶を持って、18世紀ヨーロッパに転生した主人公。幼くしてカルロとレティツィアの「ヴォナパルテ夫妻」に拾われ、やがてふたりの間に生まれた少女、レオナと義兄妹となる。彼の知るナポレオン・ボナパルトに当たるはずの彼女は、“史実”の通り英雄…

デボラ・クロンビー「警視の因縁」

子供を知り合いに預けたまま失踪した女性。数ヶ月後、夫もまた死体となって発見される。親友であるヘイゼルの夫、ティムからの依頼で事件に関わることになったジェマは、ひとり残されることになった幼いシャーロットを保護しながら、キンケイドとともに事件…

エラリー・クイーン「アメリカ銃の謎」

ニューヨークの競技場で開催されたロデオショー。その幕開け、40人からの騎手たちによるセレモニーの最中、主役格の西部劇のスターが射殺される。その場に居合わせた推理作家で名探偵のエラリー・クイーンは、父のクイーン警視と捜査に乗り出すのだったが、…