柄刀一「流星のソード/名探偵・浅見光彦vs.天才・天地龍之介」

北海道の出版社からオファーを受け小樽を訪れた浅見光彦

その過程で訪れた榎本武揚建立の龍宮神社で、かつて山梨で邂逅し同じ事件を追った天地龍之介らと再開する。

 

従兄の光章らと、龍宮神社に奉納された“流星刀”の公開を見物に訪れていた龍之介は、そこで発生した変死事件に関わることになってしまっていた。

そして、見物客でにぎわう神社の境内で毒殺死を遂げた女性、樫沢静華(かしざわしずか)は、浅見の同行者となった編集者、牧野ルイの人生をかつて狂わせたインターネットインフルエンサーだった。

 

さらに海岸線に遺棄されていた死体が発見される。

ふたつの死体にはどちらも石川啄木の短歌の見立てがほどこされていたことから、事件は連続殺人の様相を帯びる。


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内田康夫の生んだ名探偵、浅見光彦とこの作者のオリジナル探偵との競演作2作目。

第1作もそうだったのだけど、ふたりの主人公の性格からか推理合戦的にはならず、この手のクロスオーバーものにしてはお祭り感は薄め。

どちらかの主人公単独の話にしても良かったんじゃないかと思ったのだけど、最後まで読めばやっぱり二大探偵ならではの真相で、解決編。

 

榎本武揚が隕石から作らせ、一振は皇室に献上もされたという流星刀の製作に関わったはずなのに、文献にほとんど登場しない刀鍛冶、刻国(ときくに)の謎も面白い。