エラリー・クイーン「アメリカ銃の謎」

 ニューヨークの競技場で開催されたロデオショー。その幕開け、40人からの騎手たちによるセレモニーの最中、主役格の西部劇のスターが射殺される。その場に居合わせた推理作家で名探偵のエラリー・クイーンは、父のクイーン警視と捜査に乗り出すのだったが、徹底した捜索にもかかわらず犯行に使用された25口径の拳銃は発見されない。

ミステリファンを名乗りながらあるまじくも、実はそんなに読んでなかった大御所作家。 図書館で借りた旧訳版だったもので、まず言葉遣いからなんとも古めかしくて、ちょっと難儀した。 それもでも、令和の日本人からしたらで、大スタジアムでの衆人環視の殺人、被害者は映画スター、犯行の瞬間がニュース用動画に納められていたり、といった展開は、発表当時としては最先端だったんじゃないかな。

容疑者は2万人といいながら、(話としては)わりとあっさり数人程度にまで絞られてしまうのとかが物足りなくはあったものの、今も多くの現役ミステリ作家がリスペクトするレジェンドだけあって、解決編のロジックは見事。 映画撮影上の“ある手法”がトリックに関わってくるんだけど、これが常識的すぎて盲点というやつで、「あ!」てなった。