ホリー・ジャクソン「自由研究には向かない殺人」

2012年4月、リトル・キルトンの町で発生した高校生失踪事件。

学園の人気者だった美少女、アンドレ(アンディ)が姿を消し、直後に恋人だったサリル・シン(サル)が自白ともとれるメッセージを残して自殺死体で発見される。

 

5年後、グラマースクールの最上級生になったピッパ・フィッツ=アモービ(ピップ)は、資格取得のための自由研究の題材にこの事件を取り上げる。

親友の姉を通じてサルを知っていたピッパには、彼が殺人犯とは信じられなかった。

 

サルの弟、ラヴィの協力も得て、事件関係者へのインタビューを中心に「自由研究」を進める中で、サル犯行説への疑念を強めていくが、そんなピップの調査を快く思わない何者かから脅迫状が届く。


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「このミステリがすごい2022」海外編2位にランクイン。

Twitterなどで作家さんたちなどの評判も良く、前々から読んでみたかった本。

 

主人公のピップがとにかく魅力的。

正義感にあふれて賢くて活動的、家族やクラスメイトとの軽妙なジョークのやりとりなんかも、すごく僕のツボだった。

捜査のためにコンビを組むラヴィとの関係、距離感も微笑ましく楽しい。

 

5年前に「被疑者死亡」で捜査の打ち切られた事件を掘り返すなかで、次第次第に明らかになっていく事実。

世間的には悲劇のヒロインと思われている美少女の一面の素顔、ピップ自身のよく知る人物にも浮かぶ犯行動機、そして姿を見せぬ脅迫者、と引き込まれるつくり。

時間に余裕のある時だったら、1日か2日で一気読みしちゃったんじゃないかと思う。

 

ピップを主人公にした続編が、イギリスでは3作目まで出てるようで、それも是非読みたい。

おすすめ度かなり高。