ミハイル・エリザーロフ「図書館大戦争」

旧ソ連邦時代の無名作家ドミトリー・グロモフ
彼の残した数少ない著作には、人間の精神に働きかける不思議な力があった。
そのことに気付いた者たちは、「図書館」「読書室」といった秘密結社を組織し、グロモフの小説の収集に血道をあげ、時に壮絶な衝突を起こすようになる。


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あえて日本風に言うと異能バトルものとなるのかな。
タイトルは前から知っていて、映画にもなった国産アクション小説への連想から(翻訳者が個人的に有川ひろ先生のファンらしい)気にはなっていたのをやっと読んだ。
登場人物たちに目的意識も何もなく、ただグロモフの本がもたらしてくれる闘争心や歓喜、快楽、安堵のため、血みどろの乱闘や策謀が繰り広げられる。

作者は旧ソ連時代のウクライナ出身ということだけど、この時節に読むことになったのは半分以上偶然。
共産主義体制への郷愁に対する風刺とか、そういう意図もあるのかもしれないけれど、正直僕には難しかったかな。