2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

浅田秀樹「三体問題/天才たちを悩ませた400年の未解決問題」

有名な天文物理学上の未解決問題の本。僕には珍しい理系の教養書で、読んでみようと思った動機というのが、某中文SFでこの三体問題を知ったから。理系の人にはごく初歩的な入門書なんだろうけど、理解するにも楽しむにも、僕は素養が足りなかったかな。 むし…

福田和代「繭の季節が始まる」

21世紀初頭のパンデミックを経験して、人類は《繭》と呼ばれる制度を導入。新型ウィルスが発見されると、警察官や消防官、医療従事者などの一部の職種を除いて、収束までの間、外出は原則禁止となる。交番勤務の警察官、水瀬アキオは猫型警察ロボットの相棒…

ミハイル・エリザーロフ「図書館大戦争」

旧ソ連邦時代の無名作家ドミトリー・グロモフ。彼の残した数少ない著作には、人間の精神に働きかける不思議な力があった。そのことに気付いた者たちは、「図書館」「読書室」といった秘密結社を組織し、グロモフの小説の収集に血道をあげ、時に壮絶な衝突を…

額賀澪「世界の美しさを思い知れ」

出演映画の完成を目前に自ら命を断った俳優の蓮見尚斗。 家族との不仲、マネージャーら関係者との軋轢、映画監督のパワハラ、元恋人への未練、と世間はその動機を様々に憶測する。 誰よりそれを知りたいと願う双子の兄の貴斗は、弟のスマホに届いた連絡メー…

岡田秀文「白霧学舎探偵小説倶楽部」

太平洋戦争の末期、空襲から逃れる疎開の意味もあって、地方の小村落の寄宿舎学校へと編入することになった美作宗八郎は、寮長の滝と同学年の斎藤、最初にできたふたりの友人から、探偵小説倶楽部に引き込まれる。 彼らは5年前から続くある連続殺人に関心を…

劉慈欣「円/劉慈欣短篇集」

「三体」で中文SFブームを引き起こした作者の短編集。原著にあたる本はなくて日本独自の刊なのだけど、収録作選出は著者自身によるとのこと。ユーモラスなの物寂しいの、古代もの、近未来ものと多彩で、それだけに個人的に合う合わないはあったけど、全編通…

アレックス・ベール「狼たちの城」

1942年3月、ナチス政権下のドイツ、ニュルンベルグ。元古書店主のユダヤ人、イザークと彼の一家にポーランドへの移送通知が届く。そこで待ち受ける運命から逃れるため、彼はレジスタンス組織に参加している元恋人のクララを頼る。彼女が彼のために用意したの…