岡田秀文「白霧学舎探偵小説倶楽部」

太平洋戦争の末期、空襲から逃れる疎開の意味もあって、地方の小村落の寄宿舎学校へと編入することになった美作宗八郎は、寮長の滝と同学年の斎藤、最初にできたふたりの友人から、探偵小説倶楽部に引き込まれる。

彼らは5年前から続くある連続殺人に関心を抱き、独自に調査を行おうとしていた。


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昭和20年が舞台の青春ミステリ。

学校の授業はろくに行われず勤労奉仕の毎日、今よりずっとブラックだった教師たちの目を盗み、場当たりな言い逃れをこねまわしながらの捜査活動。

留年をくりかえして寄宿舎に引きこもる「教授」こと梁川の変人安楽椅子探偵っぷりや、主人公たちと行動をともにすることになる女学生の薫の勝ち気キャラ、彼女をめぐる恋愛模様なんかも面白い。