ケイトリン・マレン「塩の湿地に消えゆく前に」

クララには、他人の強い想いを幻視する能力があった。
自分と同じ能力を持ち、今はカリフォルニアにいるという母親のもとへ旅立つ日を夢見て、叔母のデズと万引きやスリ、そして占いで生計を立てている。
ある日、行方をくらました姪のことを知りたいとやってきた男性のことを占ってから、クララは悲惨な最期を遂げる女性たちの姿を幻視するようになる。


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カジノ産業で一時はラスベガスと並ぶ隆盛を誇ったのだけど、カジノを解禁する州が増えてからは斜陽のアトランティックシティが舞台。
クララと、ニューヨークで手酷い裏切りに遭い、生まれ故郷に帰ってきたリリーのふたりを主人公に、そんな町の様子と、そこに生きる人々(主に女性)の姿を描く。

 

ミステリとしては、連続女性惨殺事件を扱っているのだけど、どちらかというとさまざまな事情を抱えた人々の群像劇という感じ。
読んで楽しいばかりの話ではなかったけれど、クララとリリーの出逢いと友情なんかに惹かれるものがあった。