ビル・クリントン、ジェームズ・パターソン「大統領失踪」

アメリカ大統領ジョン・ダンカンは、ただひとりホワイトハウスを抜け出し、ある人物との密会に向かう。
大統領周辺の限られた数名しか知らないはずの暗号名“ダークエイジ”を切り札に、ダンカンに接触を求めてきた謎の男女。
彼らのもたらす情報とは何か。
そして彼らに極秘情報を伝えた政府内の内通者は誰なのか。


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アメリカ42代大統領クリントンの初めての(共著での)小説。
大統領経験者が大統領を主人公のサスペンスを出すというので、その話題性もあってだろうけど、アメリカではかなりの大ヒットになったそう。
当然のように、ホワイトハウスの舞台裏描写だとか、著者自身の政治思想だとかに着目されそうだけど、それ抜きにしても充分面白かった。

ホワイトハウスをタイトル通りに“失踪”したあとはほとんど最終盤まで戻らず、銃撃戦やカーチェイスも潜り抜ける大統領の姿はなかなか痛快。
世界最強の権力者が身内の裏切者のために、様々に制約を科されてあがくところなんかもいい。
亡き妻の思い出にしんみりしたり、持病の不安を抱えていたりの人間的な面も読ませる。
二転三転する展開の末、最後に驚かせる真相も待っている。